税制について
相続時の不動産売却時期について
不動産を売却した場合、以下の特例の適用が想定されます。
【居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除】
個人がマイホームを売却し、ある一定の要件を満たす場合、
譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができます。
現所有者である売主が売却直前までその不動産に住んでいた場合に適用となるので、
生前時の売却にて適用できます。
【被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除】
相続人が、被相続人が1人で住んでいた土地建物を相続により取得した後、
その空き家を売却し、ある一定の要件を満たす場合、
譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができます。要件については以下参照。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
上記の特例が適用できるよう生前か相続発生後か
譲渡するタイミング等検討も必要です。
3,000万円の控除が受けれるかどうかで大きく税額も変わります。
当社では相続税の申告やご相談もちろん譲渡所得の確定申告もおこなっておりますので、
是非一度ご相談くださいませ。
事業承継税制④相続税の納税猶予
前回は贈与税の納税猶予の流れをご紹介いたしました。
今回は相続税の納税猶予の流れを見ていきます。
まずは、各都道府県へ
【特例承継の策定申請】を提出します。
(会社が計画を作成、認定支援機関が所見を記載し、平成35年3月31日までに提出。
平成35年3月31日までの相続については贈与後の提出も可能です。)
その後相続が発生した後、相続開始から8か月以内に
【円滑化法の認定申請】を申請します。(特例承継計画を添付します)
税務署へは、
相続発生から10か月以内に
【相続税の申告】を行います。(認定書の写しを添付、担保の提供が必要)
相続税の申告期限後5年間は
県知事へ『年次報告書』を
税務署へ『継続届出書』を
年に一度提出が必要となります。
(各種申請要件を維持)
経営承継期間経過後は、
税務署へ『継続届出書』を3年に一度提出が必要となります。
(上記同様申請要件を維持)
また、相続税の納税猶予の要件は以下の通りですので、ご確認くださいませ。
- 会社の要件
中小企業者であること、資産保有会社等でないこと、非上場会社であること、正規従業員が1名いること 等
- 先代経営者の要件
相続直前において代表者であったこと、株式を同族関係者含めて50%超保有していたこと、筆頭株主であったこと
- 後継者の要件
相続発生から5か月経過する日において代表者であること、株式を同族関係者含めて50%超保有していること、筆頭株主であること、被相続人が60歳以上の場合相続直前に役員であること、後継者が複数の場合10%以上の議決権を有すること・贈与者が有する議決権を上回ること・後継者以外の同族株主が有する議決権を下回らないこと・後継者全員が代表者になること
事業承継税制③贈与税の納税猶予
では、具体的に贈与税の納税猶予の流れを見ていきます。
まずは、各都道府県へ
【特例承継の策定申請】を提出します。
(会社が計画を作成、認定支援機関が所見を記載し、平成35年3月31日までに提出。
平成35年3月31日までの贈与については贈与後の提出も可能です。)
その後、贈与の実行をなさった後、贈与の翌年1月15日までに
【円滑化法の認定申請】を申請します。(特例承継計画を添付します)
税務署へは、
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに
【贈与税の申告】を行います。(認定書の写しを添付、担保の提供が必要)
贈与税の申告期限後5年間は
県知事へ『年次報告書』を
税務署へ『継続届出書』を
年に一度提出が必要となります。
(各種申請要件を維持)
経営承継期間経過後は、
税務署へ『継続届出書』を3年に一度提出が必要となります。
(上記同様申請要件を維持)
また、贈与税の納税猶予の要件は以下の通りですので、ご確認くださいませ。
- 会社の要件
中小企業者であること、資産保有会社等でないこと、非上場会社であること、正規従業員が1名いること 等
- 先代経営者の要件
贈与時までに代表を退任すること、株式を同族関係者含めて50%超保有していたこと、筆頭株主であったこと、贈与時に保有する自社株式を一定数以上一括して贈与すること(発行済議決権株式数×2/3-後継者保有株式数>先代経営者保有株式数 の場合はすべての株式、発行済議決権株式数×2/3-後継者≦先代経営者保有株式数 の場合は、後継者の贈与後議決権割合が2/3以上になる株式)
- 後継者の要件
贈与時において代表者であること、株式を同族関係者含めて50%超保有していること、筆頭株主であること、贈与時点で20歳以上かつ3年以上継続して役員であること、後継者が複数の場合、10%以上の議決権を有すること・贈与者が有する議決権を上回ること・後継者以外の同族株主が有する議決権を下回らないこと、後継者全員が代表者になること
事業承継制度②
以前のブログで事業承継税制の状況を掲載させていただきました。
具体的に、今一度確認のため平成30年税制改正ポイントを
今回は取り上げていきます。
従来の事業承継税制には以下のような制限に問題点がありました。
- 雇用確保要件5年平均80%維持
- 適用対象株式3分の2の制限(相続の場合、限度数3分の2に加え、税額80%減額のため、実質53%減額(47%課税))
- 後継者の制限が一社につき1人
等があげられます。
それをふまえ、以下のように改正されます。
- 雇用確保要件 →実質撤廃
- 適用対象株式の制限 →全株式
- 後継者制限 →複数の株主から最大3人の後継者
その他、出先機関が各地の経済産業局から都道府県の担当課へ変更、
承認計画書の提出が必要となっております。
詳しくは、下記の中小企業庁が公表しております改正の概要を
ご覧いただければ、わかりやすく図解で説明されておりますのでご参考くださいませ。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/180402shoukeizeisei.htm
事業承継税制について
昨今、経営者の高齢化により事業承継の問題が発生しております。
今後10年間の間に、平均引退年齢である70歳を超える
中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、
その約半数の127万人が後継者未定となっています。
この127万人は日本企業全体の1/3となっております。
現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、
2025年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用と
約22兆円のGDPが失われる可能性がありかなり深刻な問題となっております。
それに対し、平成20年10月1日に「中小企業における経営の円滑化に関する法律」 が
施行されました。
これを受け、平成21年度税制改正において 「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」
を中心とする事業承継税制が創設されます。
ですが、5年間の継続要件等が厳しく、 期待に反し適用要件が200件もいかず低調していました。
そして平成25年税制改正において、14項目が手直しされます。
その内容は、経産大臣の事前確認の撤廃、親族外承継可、8割雇用維持の緩和等 となっており、
適用件数が平成27年には、456件となりました。
そして今回平成30年税制改正において、10年間の期限付きの特例措置を創設、
今後5年以内に承認計画を提出し、10年以内に贈与・相続をした者が対象となります。
事業承継税制に関しては、今後も見直しがされる可能性があるので、
その都度確認が必要となります。
相続でお悩みの方、単に資産だけではなく事業についても
どうしていくか大きな課題となっているかと思います。
これは後回しにできない大きな問題です。
早めにどのように対応していくか税理士へ相談が必要です。
相続に関する税制改正
今年度は事業承継税制の見直しと小規模宅地の特例の見直しがされました。
大きくこの2点が取り上げられていましたが、それ以外にも見直しがございます。
一般社団法人等に関する相続税、贈与税の見直しについて
個人から一般社団法人等に対して財産の贈与等があった際、
贈与税等の負担が不当に減少する結果とならないものとされる現行の要件
(役員等に占める親族等の割合が3分の1以下である旨の定款の定めがあること等)
のうち、いずれかを満たさない場合に贈与税が課税されることとなりました。
こちらは、2018年4月1日以後の相続から適用となります。
同族関係者が理事の過半数を占めている法人について、その同族理事の1人が死亡した場合、その法人の財産を対象に、その法人に相続税が課税されることになります。
こちらは、平成33年4月1日以降の役員死亡から適用となります。
特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度の創設
個人が一定の美術品と特定美術品の長期寄託契約を締結し、
この特定美術品に関する保存活用計画を、文化庁官が認定した場合には、
この美術品を相続したものが寄託を継続すれば、
その課税価格の80%に対応する納税が猶予される制度が創設されました。
相続の申告書 添付書類の見直し
相続人が実子か養子のいずれかに該当するかの別を明らかにする書類が加わりました。
平成30年4月1日以後提出の相続税申告書より適用されます。
大廃業時代に対応する税制を拡充・創設
経済産業省によると、中小経営者で最も多い年齢層は2015年時点で
65歳~69歳で平均引退年齢は70歳です。
今後5年間で30万人以上の経営者が70歳(平均引退年齢)になるにもかかわらず、
その半数以上が事業承継の準備を終えていません。
廃業を放置すれば2025年までの累計で約650万人の雇用と
約22兆円に上る国内総生産(GDP)が失われる恐れがあります。
経営者の年齢が若いと売上高が増加する傾向なることから、
次世代への経営の引継ぎは、地域経済・雇用の維持・活性化に繋がります。
平成30年度税制改正の経済産業省の要望書では、
多様な経営の引継ぎに応じた税負担の軽減措置を講ずることより、
事業承継を加速させる要望が上げられています。
■中小企業・小規模事業者の事業継続を促進するための要望内容(経済産業省)
⑴贈与・相続(拡充)
親族や従業員等に株式等を贈与・相続する場合の事業承継税制の抜本的拡充宇
⑵売却・M&A(創設)
他企業や親族外経営者等に経営を引き継ぐ場合の譲渡益に係る税負担軽減、
登録免許税の軽減、不動産取得税の軽減
⑶ファンドへの売却(創設)
ファンドを経由して事業承継を行う場合に税負担の軽減
■事業承継対策の早期の着手が重要
中小企業庁の調査で、直近10年間における経営者の親族内承継の割合が急減し、
従業員や社外の第三者といった親族外承継が6割超に達したと報告されました。
税金の負担を軽減して、円滑な事業承継をすすめるためには、事前の綿密な計画と事業承継を
実行する決断が必要となります。
事業承継に関するご心配事があれば出来る限り早めにご相談ください。
最新の情報にもとづき適切なサポートをいたします。